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「あんな事があったね」と笑い合えたら

最高も最低も訪れない僕らが虚しさに立ち尽くしている夜

一人暮らしを始めて約5ヶ月。朝晩は寒く日没が早まった。17時を過ぎると外は薄暗く、早く帰路につきたい気持ちが高まる。そんな中、私は見事に風邪を引いた。2日間寝込んだ。1人で寝込むのはこんなにもメンタル的にやられるだなんて。鼻の奥がカラカラに乾燥して、くしゃみをするたびにヒリヒリして痛む。ヴィックスのど飴のレモン味も気休めに過ぎない。オマケに耳も聞こえづらく、仕事や日常会話に支障をきたす。病院に行ったら両耳中耳炎との事。耳鼻科って本当、にっがい薬を鼻の奥に塗られますよね。鼻うがいとやらを人生で初めて経験する。水での鼻うがいは痛い。せめて生理食塩水にしてほしかった。
中耳炎はよく小学生がなるんだよとお医者さんに言われる。齢、28歳。耳抜きをしてもらうが不快な音が頭の中いっぱいに広がるし痛いし、本当に不快。私絶対ダイビングしたくないわ。耳抜き痛いもん。出来る気がしない。

哀愁漂うノスタルジーな秋麗は、この耳に入る新しい音楽や眼に映る空色、情景、クレヨンで描いたように鮮やかなマットなボルドー、山吹色の枯葉たち、デパ地下のガラスケースの中に規則正しく並べられたハロウィン仕様のお菓子達、まだまだ先の事だけど星屑のスパンコールを散りばめたようなクリスマスコフレの案内チラシ、全てが美しくて儚くて、心の芯から寂しさがこみ上げるのは私だけか。
朝目が覚めると日課のようにどうしようもなく「死にたい」という気持ちがよぎるのは、秋の所為なのか。毎度毎度、心が揺れ動かされる度に季節のせいにするのもそろそろやめにしないか。前回のブログで、それはあれだ夏のせい!とか書いてるけど現実見ろという気持ち。喝。
先が見えない不安で胸が潰れそうになる。文にするから言える。弱いので言葉には出せない。誰も私の気持ちなんてわかるはずがない。動悸が止まらないので眠れない。解決しない理由、呪いで苦しい、それで仕事に行けないの。秋は何も助けてくれない。

ユニクロで買った山吹色のスカートに、ダークグレーのタートルネックを合わせる。自分で言うのも多少気がひけるが、ウエストが細いので私の中でタイトなタートルネックは自分の身体の中で唯一スタイルが良い部位を見せる為の秋服の必需品である。下半身がでかいのでそれしか似合わない。
伸びてきた髪を1つにくくって纏める。髪色は栗色。本当は好きな色に染めたい。これから網タイツを履いて、最近購入したライダース(本革ではない)を合わせたいと思ったけど、意外と秋は進んでいるようで風が冷たい。
百景では最近コーヒーよりもシナモンの紅茶を頼む。バニラもあるようでオススメされたけれど、シナモンの優しく包み込まれる香りが不安感を拭ってくれる。
夜は牛乳をミルクパンで温めて、友人がくれたチャイの粉末を溶かして飲んで寝る。ポカポカする。
全てのプライドを捨てて、SOSを発信する。
平日は友達が家にたまに泊まりに来てくれるようになった。2人で晩御飯を食べて、この間は桜湯へ行った。桜湯にはお風呂の中に大きな水槽があり、鯉が3.4匹優雅に泳いでいる。水槽の外に広がる世界が裸の女性ばかりという事も知らずに呑気に泳いでいる。お湯は熱めだけど、ジャスミンの香りがするクリームソーダのような薬湯はとても気持ちが良かった。明日は玉の湯へ行く。
全てのプライドを今は捨てて、SOSを発信する。自転車を漕いで、旅行のお土産を、旅行の帰り道一目散に届けてくれる人がいる。箭野に会いたいと言ってくれる友達がいる。無理せずにしんどい時は休めば良いと言ってくれる家族がいる。ここに帰って来て良いんだよと言ってくれる前職の仲間がいる。私が居なかったら、ここまで仕事をやってこれてなかったと言ってくれる後輩がいる。可愛いと褒めてくれる人がいる。私は大した力を何一つ持ち合わせていないけれど、自分の価値を人に聞かないと見出せない私が息をしているだけで、未だ見ぬ明日の誰かの小さな支えになっている。
私なりに繋ぎ止めた縁は、どうやら簡単には切れないものになっているらしい。日々、人に思いやりを忘れず。いつかそれは自分が苦しい時に必ず返ってくるものだから。改めて縁に恵まれていると思った今日この頃、秋の到来。